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【専門解説】なぜQRコードで名前が読めない?iPhoneカメラと「JIS2004問題」をわかりやすく解説

【専門解説】なぜQRコードで名前が読めない?iPhoneカメラと「JIS2004問題」をわかりやすく解説

公開日:2025/11/27
更新日:2025/12/03

QRコードを使った会員証や社員証が一般的になった今、意外と多いのが
「一部の名前だけ読み取れない」
というトラブルです。
特に「辻」「葛」「髙」「海」など、文字の“つくり”に旧字体・新字体の違いがある漢字で起こりやすい現象です。
そしてこの問題は、単にデータが壊れているわけではなく、文字コードの仕様とスマホ側の処理の違いが原因になっています。
この記事では、カード制作の現場でもしばしば発生する JIS2004問題 と、QRコードとの関係を、専門用語を噛み砕いて解説します。

QRコードと名前の「文字化け」はなぜ起こるのか?

QRコードは、URLだけでなく テキストデータそのもの を格納できます。
会員証・社員証に名前を埋め込む場合などは、よく使われる方式です。
しかし、ここで問題になるのが “同じ漢字でも、OSやアプリが違うと別の文字として扱われる” という点です。


▼具体例
● 「」(一点しんにょう)

● 「」(二点しんにょう)

 

どちらも「つじ」ですが、技術的には 別の文字コード を持っています。
QRコードはデータとしては正しく作られていても、読み取る側(特にiPhone標準カメラ)がその文字コードをサポートしていないと、
文字化け・欠落・読み取り不可 が発生します。

 

 JIS2004とは?

2004年に日本語の文字セットが大きく変わった

「JIS X 0208」という日本語の文字規格は、2004年にリニューアルされました。
これが、いわゆる JIS2004 と呼ばれる規格です。

この改定では、
より日常的に使われる字形に統一
旧来の漢字の一部が“新字体”として入れ替え
フォントベンダーの対応が分かれた

といった事情から、
新旧どちらが“正しい”というよりも、環境ごとに扱いが分かれた のがポイントです。
とくに企業の名簿データでは、
「古いPCに登録された名字」と「新しいPCでの漢字」
が混在していることが多く、それがQRコードの扱いに影響します。

 

なぜiPhoneカメラは誤読しやすいのか?

QRコードには国際規格がありますが、
 読み取った文字をどのように解釈するかはスマホ(OS)の仕様に依存 します。

iPhone標準カメラは、

  • 一部の旧字体
    JIS2004で追加された字形
    の扱いに制限があり、対象の文字が含まれたQRを読み取ると、
    ● 該当の文字だけ空白になる
    ● 全体が文字化けする
    ● 名前部分だけ表示されない
    といった現象につながります。

▼注意

サードパーティ製のQRリーダーアプリでは正しく表示される場合もあります。
 しかし 企業や店舗の現場では“iPhone標準カメラで読めること”が必須 になることが多く、結果としてトラブルの発見も遅れがちです。

現場で起きた実例

ある企業の社員証用QRコードをまとめて作成した際、
約1,000名中、数名の名前だけが読み取れない という事態が発生しました。
調べてみると、読み取れなかった社員は全員
“JIS2004に関わる字形を含む名前” を持っていました。

データの破損ではなく、
● 名簿データの漢字の揺れ
● QRコードのエンコード
● iPhone側の解釈
これらが複雑に絡んだ結果起きた現象でした。

こうしたケースは、
官公庁・企業のAR対応社員証・ポイントカードなど、
“名前入りのQR” を扱う現場で近年増えています。

では、どう対策すればいいのか?

  • 最も確実なのは、
    QRコードに含める文字を“読める文字体系”に正規化すること です。
    ポイントは以下の3つ。
    1. 名簿データの漢字をチェックする
     旧字体・外字・異体字を検出する。

    2. 文字コードの揺れを統一する
     複数の字形が混ざっていないかを確認。

    3. iPhone標準カメラで読める形式に変換する
     フォントや文字体系に依存しない形に整える。

    大規模データでは、
    このチェックを手動で行うのは現実的ではありません。
    そのため、ツールによる自動処理が有効になります。

  •  

文字化けは“誰のミスでもない”

この問題の根本は、
 「どれが正しい文字か」ではなく、
 「どの端末がどの字形に対応しているか」
 という技術的な差異にあります。

つまり、
 データ作成者でも、QR作成者でも、スマホユーザーでもない
 誰かのミスではなく、規格の変遷が作り出した現象です。

カード制作や名簿管理の担当者であれば、
 「名前の表記ゆれはQRでトラブルになることがある」
 とだけ覚えておくと安心です。

 

まとめ

QRコードで名前が文字化けする原因は、
 単なるデータ不備ではなく 文字コードと端末仕様の違い にあります。

  • ●JIS2004で字形が変わった漢字は要注意
    ●iPhone標準カメラは旧字体の扱いに弱い
    ●“読み取れる文字への正規化” がトラブル防止の鍵
    会員証・社員証など、名前を扱うQRコードを導入する際には、

 文字の揺れを事前にチェックすること が重要です。

 

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